常滑市山車図鑑

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ページ番号1003042  更新日 令和6年6月12日

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█ 大野地区(小倉神社、風宮神社、江崎社、大野橋) █

大野祭り

大野祭りのはじまり

唐子車
「弘化丁未4歳(1847)5月吉日永代記録」の中に、寛保元年(1741)に「祭礼初めて出来酉八月」とあることから創建時期と推定されます。山車の創建費用は、山車本体、幕、染代、人形、装束、高欄、塗り代の合計で金10両と1貫332文と記録されています。その後、天明4年(1784)8月の大修復を経て、現在に至ります。伊勢湾台風の影響で中断したこともあったが、約260年継承されています。

紅葉車
文久3年(1863)に創建された。道具入れの箱書きに「葵文久3年(1863)亥8月吉日、南天道町御車大工久七、彫刻師瀬川治助」の墨書きがあり、名古屋の御車大工酒井久七により創建されたと考えられています。

梅榮車
「梅榮御車之記」によると、十王の祭礼車の発祥は、天明5年(1785)から翌6年(1786)にかけて新調されて以後毎年曳き出されたが、嘉永元年(1848)その山車「栄遊車」を売却して、総費用567両を投じて新調したのが現在の「梅榮車」です。

権丸
祭船の起源は、台風などの災害で記録が残されておらず不明ですが、安政2年(1857)の幕が保存されており、それ以前から祭船が行われていたことがわかっています。

唐子車(名古屋型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:寛保元年(1741)

代表彫刻

  • 支輪:松(瀬川治助重光)
  • 懸魚:雲

  • 大幕:唐子車の文字
  • 水引幕:鳩群飛(森 高雅)

人形(離れからくり)

  • 麾振り唐子(名古屋藤吉ー蔦屋天明5年)
  • 大唐子(名古屋藤吉ー蔦屋天明5年)
  • 小唐子(名古屋藤吉ー蔦屋天明5年)
  • 塩土老翁(名古屋藤吉ー蔦屋天明5年)

からくりの特徴
塩土老翁の前で大唐子が小唐子を肩車し、小唐子が松の木へぶら下がり太鼓を叩く、という名古屋系の色彩が濃い、難度の高いからくりである。

唐子車

紅葉車(名古屋型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:文久3年(1863)

代表彫刻

  • 高欄:源氏香
  • 前支輪:紅葉
  • 上支輪:雲に星(瀬川治助重光)
  • 懸魚:鳳凰
  • 太平鰭:雲

  • 大幕:赤地の無柄
  • 水引幕:鶴(喜田華道下絵)

からくり(離れからくり、糸からくり:常滑市指定無形民俗文化財)

  • 麾振り人形(5代目玉屋庄兵衛)
  • 豊太公(3代目玉屋庄兵衛ー文久3年)
  • 中唐子(3代目玉屋庄兵衛ー文久3年)
  • 逆立ち唐子(3代目玉屋庄兵衛ー文久3年)

囃子方の太鼓箱には天保6年(1835)、道具箱には天保15年(1844)の在銘がみられます。また、からくりが逆立ちして水平に鉦を叩くのは、きわめて珍しいと評価されています。過去にはロンドン公演を行ったこともあります。

紅葉車

梅榮車(名古屋型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:嘉永元年(1848)

代表彫刻

  • 前支輪:松
  • 上支輪:梅
  • 太平鰭:雲・太陽・月(彫雲堂勝蔵)
  • 懸魚:鳳凰

  • 前幕:十王町の文字(市河庵 天保)
  • 大幕:緋羅紗の無地
  • 水引幕:唐織錦の蜀江の錦

からくり(糸からくり)

  • 麾振り人形(隅田仁兵衛藤原真守 嘉永1年)
  • 蘭陵王(隅田仁兵衛藤原真守 嘉永1年)
  • 横笛童子(隅田仁兵衛藤原真守 嘉永1年)
  • 渡唐天神(隅田仁兵衛藤原真守 嘉永1年)

からくりの特徴
麾振り人形の眼は、ガラス製で瞬きで閉じることもできます。
蘭陵王は、舞楽「蘭陵王」を舞う中、一瞬で面を被り、その後再び元の顔に戻ります。
横笛童子は天神の前で優雅に笛を奏でます。
渡唐天神は菅原道真が唐の国へ渡る時の姿を模した人形です。

梅榮車

権丸

建造安政2年(1857)

大野まつりに「権丸」という巻藁船で参加します。権丸は、専用の山車2艘を繋ぎ合わせ、名古屋型の櫓を組んだ上に1年の日数を表す多数の提灯を半球状に飾る。中心に伸びる芯柱には1年の月数を表す12個(うるう年は13個)の赤い提灯をつけています。
半球状に飾った巻藁と芯柱に飾る12個の提灯は、尾張津島に伝わる天王祭を模したもので、尾張一円の天王祭に類似した巻藁船や巻藁山車が広まっています。知多半島でも大野の他に、上半田のちんとろ船や河和などにみられます。
権現町の氏神は、「江崎社」で古くから海運で栄えた港に出入りする船の守護神として、江崎権現と称され崇敬を受けています。
先代の権丸は、昭和34年の伊勢湾台風で流出破損し、ながらく祭礼に参加できませんでしたが、難を逃れた櫓と提灯台座を使用し、新たに2艘の船を復活建造して昭和63年に復活しました。

権丸

█ 小倉地区(小倉天神社) █

小倉車

小倉地区祭礼のはじまり

江戸末期に名古屋市伝馬町から購入し、昭和33年(1958)以降曳き廻しが中止されていましたが、平成3年(1991)に山車を修理して復活しました。『みんなで祭りを盛り上げよう』をテーマに地区内を曳き廻されています。平成10年(1998)に愛称を「小倉車」と決定しました。
詳細はわかっていませんが、現存する道具箱などに天保15年(1844)の墨書きがあり、山車祭りがその当時から行われていたことが推測されています。
名古屋型の山車で見られるからくり人形が載せられていないのは、かつて人形を飾ると雨が降るので、いつの頃からか飾らなくなり人形は売却されたと伝えられています。

小倉車(名古屋型)

建造:不明。道具箱に天保15年(1844)の墨書があります。

大幕:小倉区の文字

囃子

・神楽(1曲):笛、小太鼓、大太鼓

・道行(7曲):笛、小太鼓、大太鼓
 小倉囃子(打ち込み)、道中囃子(もどり囃子)、岡崎囃子、祇園囃子、火燈す、寄せ太鼓

小倉車

█ 西之口地区(西之口神明社) █

西之口

西之口

西之口地区祭礼のはじまり

西寶車
西之口神明社の祭礼は、五穀豊穣、無病息災を祈願しています。祭礼の起源は不明ですが、帳箱の墨書きから文化14年(1817)と推定されます。現車は、伝承によれば江戸時代末期の天保6年(1835)に大野の橋詰町で建造されたものを文久3年(1863)に米約70俵で購入したと言われています。
明治25年(1892)から祭礼にかかる道具等を新調したり修繕していることが墨書きなどからわかっています。
昭和29年(1954)には台風13号の被害を受けて山車の曳き廻しは再び中止になりましたが、祭礼を続けることができ昭和32年(1957)から西寶車の飾り付けのみで、曳き廻しは休止となりました。
再び西寶車が曳き廻されるのは、平成4年(1992)4月の西之口神明社御遷宮でお祭りを再開をする為に大改修が行われてからです。

雷神車
天保13年(1842)広井村仲之切(現名古屋市中村区)で建造され、「張良車」の名称で三之丸天王まつりに曳き廻されていましたが、明治維新でまつりが中止となり、明治11年(1878)に150円で山車、人形、幕一式を買い受け、「龍神車」と命名し、旧6月15日に祭礼を行っていました。名称変更は定かではないが、明治26年には「雷神車」となっています。

西寶車(名古屋型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:天保6年(1835)

  • 大幕:西寳車の文字(慶応年間)
  • 水引幕:波に鳥を銀糸で刺繍(加藤宗七 大正13年)

からくり

  • 麾振り人形(作者不明ー文化文政、弘化年間製作)
  • 文字書き人形2体(横井 誠ー平成10年製作)
  • 大将人形(横井 誠ー平成11年製作)

西寳車

雷神車(名古屋型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:天保13年(1842)

  • 前幕:鉄砲津の縫付け(明治12年)
  • 水引幕:白地こうもりの図柄(伊藤呉服店 明治26年)

からくり

  • 麾振り人形(隅田仁兵衛真守ー弘化4年製作)
  • 張良(隅田仁兵衛真守ー弘化4年製作)
  • 龍神(二代目萬屋仁兵衛ー平成28年修復)
  • 大将人形 天照大皇神(作者不明ー制作年不明)

雷神車

█ 矢田地区(矢田八幡社) █

矢田区

矢田地区祭礼のはじまり

矢田車
矢田地区は古くは3頭の馬に飾りをつけ、区内を走らせた祭りを行っていました。しかし、昭和30年頃より祭礼用の馬が少なくなりました。以後、飾り馬での祭礼は廃止となり、大きなイベントは行われなくなっていました。しかし、昭和62年に子供会で昔のように「心躍らせ、絆を深める祭りを子供達に経験させたい」と手作りで御幣車を完成させ、矢田区で山車祭りを行っていましたが皆が参加できる山車祭りに人気が高まり、子供達や区民の参加がさらに増えました。その為、平成12年に宝くじの助成金と地域の方々の援助を受け、近隣の建設業者に作成を依頼しました。そして矢田区に、待望の2台目の山車が建造され、矢田の祭礼は区民みんなで楽しもうと、名称を「矢田車」と命名されました。

御幣車
昭和62年に子供会が「みんなで楽しみ、子供達の絆を深めよう」と山車祭りを発案、地元大工と区民が半年かけて「子供会の山車・御幣車」を完成させ、同年秋に子供達約130名が区内を曳き廻し、子供会山車祭りが始まりました。御幣車の由来は、昭和30年頃までは、3頭の馬を走らせたお祭りを行っており、一馬には御幣、二馬には桜、三馬に柳をつけていました。この古い伝統を将来に伝える意味で、山車には一馬と同じ御幣を飾り「御幣車」と命名しました。
御幣車は、建造時から現在に至るまで専門家にお願いしたことがなく、これからも手作りの山車として愛着を深め、地元の宝として末永く見守っていきたいです。

矢田車(知多型)

建造:平成12年(2000)

矢田車

御弊車(知多型)

建造:昭和62年(1982)

  • 大幕:獅子と牡丹
  • 追幕:矢田万歳
  • 水引幕:鳳凰やキリの花

御幣車

█ 多屋地区(海椙神社) █

海椙車

多屋区祭礼のおはなし

明治時代は、舟車(祭栄丸)にのぼりを掲げ曳き廻していたが、昭和に入り、歴史的人物の作り物を乗せ、造花で飾った山車(花車)を製作しました。
その後、昭和37年まで続いた祭りは中止となりましたが、昭和63年、本格的な山車を手作りで完成させ「海椙車」と命名しました。

海椙車(知多型)

建造:昭和63年(1988)

代表彫刻

  • 壇箱:力神
  • 蹴込:龍

  • 大幕:唐獅子と牡丹
  • 追幕:鳳凰
  • 水引幕:龍

█ 常滑地区(常石神社・神明社) █

旧常滑地区

常滑地区のはじまり

常滑地区の祭礼は、6字(北条、瀬木、奥条、山方、市場、保示)が明治38年日露戦争での勝利に常滑町が行った凱旋祭に6字の山車が参加して始まりました。当時の山車は花車と呼ばれる簡素なものや字の祭りの山車で参加していました。これ以降、白山社招魂祭として山車祭りを行っており、明治末期に白山招魂祭に併せて神明社、常石神社の例祭を行うようになりました。
その後、大東亜戦争により昭和16年を最後に中断し、終戦後の昭和21年に再開され、4月14日を神明社、15日を常石神社の祭礼とし、招魂祭は10月23日となりました。昭和50年からは祭礼日を現在の4月第2土・日曜日に行うようになりました。多くの山車祭りは氏神神社の祭りで豊作等を祈念するものであるが、常滑地区祭礼は戦没者を慰霊する祭りから始まったものです。

神明車
旧車は明治42年、高横須賀南脇の字合併により余った山車を購入したものであり、昭和38年に宮大工岡戸一郎によって造りかえられたものが、現・神明社です。

世楽車
瀬木区としては明治10年頃に富貴村(現武豊町富貴区)より山車を譲り受けたのが始めで、その後、大正3年に上半田南組より譲り受けたのが現在の山車で、天保13年岸幕腎隆の作です。
譲り受けたのは山車の台輪より上の部分で、壇箱、脇障子といった主要彫刻も外された状態のもので、瀬木区として台輪部分の新調を始め、壇箱、脇障子などの彫刻の新調をして山車としての体裁を整えた。その後、永年の使用により、随所が痛んできたため、昭和24年に大改修を行いました。
その後、数年かけて彫刻などを施し、現在の姿となった。平成11年には昭和24年の改修より50年目の節目に堂山柱の新調を行っている。平成17年に常滑市指定有形民俗文化財の指定を受けるとともに同年、愛知万博で愛知県ウィーク山車100輌揃えに参加、国内外の多くの人々を魅了しました。

常石車
常石車は、明治44年(1911)常滑町奥条組の総代榊原浅吉が阿久比村宮津の大工岡戸峯次郎に依頼し、翌明治45年(1912)に建造されました。それまでは簡素な花車でしたが、旧常滑地区では知多型と呼ばれる本格的な白木づくりの山車、彫刻を新造したのは常石車が最初です。その後、数年かけて彫刻や大幕、水引幕などの改修を行い、現在の姿になりました。平成24年に「常石車建造100周年」を迎え、記念式典や区内の山車曳き廻しを行いました。平成30年には常滑市指定有形民俗文化財の指定を受け、その記念として追幕、吹流しや梵天(毛飾り)を新調しました。また、令和4年には総手刺繍加工の大幕「阿吽唐獅子常石牡丹」を新調し、区民をはじめ多くの山車愛好者などを魅了しています。

常山車
明治38年の白山招魂社の凱旋祭りに花車(簡素な山車)を造ったことに始まり、現在の山車は大正4年に建造された。平成5年に堂山高欄斗形を改修、平成12年に緋大幕を新調、平成21年に「白羅紗地に唐獅子牡丹」の水引を修理しています。ゴマ(車輪)は平成15年に地松の集成材でできた輪を新調し、台輪欅材を用いています。
上山部は、台輪の下ほぼ中央に据え付けられた迫上太鼓を回すと、堂山の内側にたった4本の樋の中を紐が動き、上山の4本柱を受ける柱受けが上下し、それにつれて上山が昇降します。

常磐車
大正13年(1924)に宮大工・岡戸峰次郎によって建造されました。
以前は、「柴舟車」と呼ばれた舟形の山車を曳き廻していました。この山車は、名古屋市西区明道町から購入したものでした。区内に徳川家康公を祀る柴舟権現があることから、山車の金具・刺繍に「葵紋」が入っています。大幕、人形等の新調・修理を行いつつ、現代に至ります。

保楽車
大正13年、宮大工・岡戸峰次郎によって創建されました。
平成4年、堂山斗組高欄を黒檀で製作しました。

北条区:神明車(知多型(外輪))

建造:明治42年(1909)

代表彫刻

  • 壇箱:四神・力神(昭和38年ー2代目彫常)
  • 蹴込:唐獅子に手鞠(昭和38年ー2代目彫常)
  • 持送り:北の文字の角くずしに梅鉢と源氏香の絞(昭和38年ー2代目彫常)
  • 脇障子:昇り龍、降り龍(昭和38年ー2代目彫常)
  • 前山蟇股:舞楽四図 火災太鼓と楽人(昭和49年ー2代目彫常)
  • 前山懸魚:鳳凰(昭和40年ー2代目彫常)

  • 大幕:緋羅紗の無地(昭和36年ー松坂屋)
  • 水引:梅に鶯(大正年間 平成5年新調)

神明車

瀬木区:世楽車(知多型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:不明

代表彫刻

  • 壇箱:三韓征伐宝物受取(大正13年頃ー彫常)
  • 蹴込み:波に千鳥・水車(昭和29年ー彫常)
  • 持送り:波(弘化3年頃ー早瀬仲蔵)
  • 脇障子:太閤記(昭和26年ー彫常、下絵 山田秋衛)
  • 堂山蟇股:太閤記(昭和26年ー彫常、下絵 山田秋衛)
  • 前山懸魚:飛龍(大正年間ー彫常)

  • 大幕:緋羅紗の無地(平成2年ー大須金松仏具)
  • 水引:白羅紗に松に鷹(平成2年ー大須金松仏具 下絵 山本香雲)

からくり

  • 麾振り人形(前棚人形)(江戸末期ー浅野新助)

世楽車

常石車(知多型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:明治45年(1912)

代表彫刻

  • 壇箱:七福神(大正年間ー初代彫常)
  • 蹴込み:伊勢海老(平成3年ー駒田正則)
  • 持送り:力神(昭和初期ー2代彫常)
  • 脇障子大黒・恵比寿(大正年間ー初代彫常)
  • 前山蟇股:子持龍(昭和初期ー2代彫常)
  • 堂山蟇股:十二支(昭和初期ー2代彫常)
  • 前山懸魚:飛龍(昭和初期ー2代彫常)
  • 上山懸魚:鳳凰(前)、ぶどう(後)(昭和初期ー2代彫常)

  • 大幕:緋羅紗の基布に本金糸、正絹糸使用による総手刺繍加工 常石神社本殿の脇障子を基に成田吉毅作の原画による「阿吽唐獅子常石牡丹」(令和4年ー京都・四季祭 旧幕は無地、昭和58年ーひのきや呉服店)
  • 上山水引幕:正絹紫地に金糸の剣花菱(令和5年ー京都・四季祭 旧幕は昭和47年、平成13年に幕のみ修復)
  • 追幕:「剣花菱紋に常石車の文字と波千鳥に青繧繝波」を本金糸、正絹糸使用による総手刺繍加工(平成30年ー京都・川島織物セルコン)
  • 水引幕:白羅紗に金糸の縞海老、目はオニキス(平成13年ー京都・龍村美術織物 旧幕は明治45年ー松坂屋)

からくり(常滑市指定無形民俗文化財)

  • 前棚:三番叟かくれ遣い(明治45年ー作者不明) 
               (大正10年ー6代目玉屋庄兵衛)
               (昭和54年ー7代目玉屋庄兵衛)

明治の末頃、常石車上棟式の際、半田市成岩地区から習い伝えられ、五穀豊穣、天下泰平を寿ぎ、事始めを慶ぶ三番叟の素振りを掛け声や囃子に合わせ演じます。人形1体と音曲を含む人形廻しの演技力は伝承当時のままに保存されています。

囃子(常滑市指定無形民俗文化財)

  • 囃子:囃子と勇囃子の30曲のうち「神鳴り・早舟」の演目が市指定無形民俗文化財に指定されている。
  • 平成30年10月に文化庁の補助を受けて囃子と勇囃子(30曲)と三番叟3曲を収録し、DVDとブルーレイを製作した。市生涯学習スポーツ課でDVDを貸出している。またYouTubeでも配信している。

常石車

山方区:常山車(知多型)

建造:大正4年(1915)

代表彫刻

  • 壇箱:仁田忠常 富士の巻狩り(昭和初期ー彫常)
  • 蹴込:猿鶏倶楽部(昭和初期ー彫常)
  • 持送り:力神(昭和初期ー彫常)
  • 脇障子:神功皇后 武内宿禰(昭和初期ー彫常)
  • 前山蟇股:松に鷹(昭和初期ー彫常)
  • 前山懸魚:牛若丸と烏天狗(昭和初期)

  • 大幕:緋羅紗の無地
  • 水引:獅子ぼたん(昭和初期ー稲葉喜美司)

からくり

  • 前棚:巫女の舞(大正8年ー6代目玉屋庄兵衛)

常山車

市場区:常磐車(知多型)

建造:大正13年(1924)

代表彫刻

  • 壇箱:桃太郎鬼退治(大正13年ー彫常)
  • 蹴込:恵比寿、大黒(昭和63年ー作者不明)
  • 持送り:唐草(大正13年ー作者不明)
  • 脇障子:天の岩戸(大正13年ー彫常)
  • 前山蟇股:風神雷神(大正13年ー彫常)
  • 前山懸魚:(昭和30年頃ー彫弘)

  • 大幕:羅紗の無地(昭和27年)
  • 追幕:蘭陵王
  • 水引幕:紺地に鳳凰の刺繍(昭和60年ー京都西陣)

からくり

  • 前棚人形:采振り(昭和10年ー玉屋一門内藤金次郎)

常磐車

保示区:保楽車(知多型)

建造:大正13年(1924)

代表彫刻

  • 壇箱:浦島太郎
  • 蹴込:宝船に七福神
  • 持送り:波に千鳥
  • 脇障子:須佐之男命、日本武尊
  • 前山蟇股竹林の七賢人

  • 大幕:緋羅紗の無地
  • 水引:白羅紗に鯉

からくり

  • 前棚:桃太郎(大正13年ー6代目玉屋庄兵衛)

保楽車

█ 古場地区(古場神明社) █

古場車

古場地区祭礼のはじまり

明治末期より4月の恒例祭(まつり)として、7日は曳き初めで御車の試し曳きが行われました。8日が本宮となり、午前中は神明社に勇みを奉納、神楽が執り行われました。午後より御車の区内曳き廻し(各戸に門付け御神楽奉納)が行われていました。
夕方には提灯をともし秋葉社にて獅子舞が奉納されていました。
昭和44年に青年団の減少で御車の曳き廻しが行われなくなり神事のみの祭礼となりました。
平成14年に長い間途絶えていた祭礼(曳き廻し)が古場区囃子保存会の設立とともに復活しました。しかし、御車は一部を残して廃棄されていたので会員で勇み車を作成して区内の曳き廻しを行いました。
平成23年に現在の山車(だんじり型)を個人所有者より古場区囃子保存会が奉納を受け、車輪、車軸、曳き綱、輪掛を新調、梶棒を改良してだんじり型を知多型にして平成24年より曳き廻しています。

古場車(だんじり)

建造:昭和59年(1984)

代表彫刻

  • 虹梁:龍
  • 土呂幕:武者物
  • 土呂台:鯉
  • 三枚板:川中島の戦い、五条橋の戦い

█ 大谷地区(八幡社) █

大谷区

大谷地区祭礼のはじまり

蓬莱車
天保11年(1840)の「御車山目録」(沢田家文書)によれば、御古山(旧山車のこと)のものを大足村(武豊町)へ売り渡し、同年の天保11年6月吉日に新御車山を造った記録が残されています。

東櫻車
奥条東桜車は、明治初期に旧車を布土村(現美浜町)へ売却し、大正7年(1918年)阿久比横松の江原新助の手で新造されたと伝えられています。
かつては、亀崎の潮干祭りのように波打ち際まで曳き入れていたと言われています。

蓬莱車(知多型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:天保13年(1842)

代表彫刻

  • 壇箱:唐子と犬(天保13年ー立川常蔵昌敬)
  • 蹴込:龍(天保13年ー立川常蔵昌敬)
  • 持送り:波(天保13年ー立川常蔵昌敬)
  • 脇障子:関羽と張飛(天保13年ー立川常蔵昌敬)
  • 蟇股:中国仙人列伝(天保13年ー立川常蔵昌敬)
  • 懸魚:鳳凰に乗る王子喬(天保13年ー立川常蔵昌敬)

  • 大幕:波ー銀と海老ー金の刺繍、濱の字の刺繍(平成元年)
  • 追幕:赤地に蓬莱車
  • 水引幕:波に千鳥

からくり

  • 前棚人形:三番叟(舌出し)

東櫻車(知多型) 

建造:明治初期

代表彫刻

  • 壇箱:力神と唐子と鶏(彫常)
  • 蹴込:竹に虎(彫常)
  • 持送り:巴くずし(彫常)
  • 脇障子:須佐之男命、日本武尊(彫常)
  • 蟇股:鶴(塗り色彩)、飛び獅子
  • 懸魚:鳳凰(塗り金)

  • 大幕:赤地の無地
  • 追幕:櫻花弁の金刺繍
  • 水引幕:紺地に鶴と櫻

からくり

  • 前棚人形:三番叟(舌出し)

█ 小鈴谷地区(白山神社) █

白山車

小鈴谷地区祭礼のはじまり

常滑市の南部に位置する小鈴谷はかつて上野間・大谷・坂井等と小鈴谷町を形成していたが、昭和27年上野間を除き常滑市と合併しました。(上野間は美浜町と合併)
小鈴谷の海沿いに白山社があり、祭礼に曳き出される山車は大正7年阿久比町横松の大工・江原新助から購入されたものになります。この山車の履歴はわかっていませんが、当初は彫刻も入っていなかったようで、その後約10年をかけて少しずつ加えていったといわれています。
また、昭和29年、昭和63年の大修理を経て、近年も平成5年には大幕や水引幕も新調し現在に至っています。
近在の上野間・坂井・大谷と多く共通性が見られ、半田に代表される知多半島東側とは異なる、独自の山車文化が感じられます。
祭りの起源は定かではないが、獅子館の屋根部分に安政2年(1855)の墨書きがあることから、この当時すでに獅子舞を奉納する祭礼が行われていたことになると考えられています。(この時期に山車はまだ未所有。)
獅子舞については伊勢大神楽系の獅子神楽です。又、白山社社務所に大々神楽の道具一式が保存されており、それらにも安政2年墨書きがあります。大々神楽は、子年と午年のみ、祭礼の時に獅子舞と同じく奉納されています。
明治38年に日露戦争の旅順陥落を祈念し、初めて山車を建造しました。
ただし、この山車は現在の山車ではなく、先代のものです。
白山車は、大工・江原新助(現阿久比町横松)によって建造され、大正7年に購入しました。これが現車にあたります 。
契約は大正7年9月22日、受取は、同8年10月17日、同9年4月3日の祭礼から曳き廻しに使う。
購入当時は、前山、壇箱、蹴込、持送り部分に彫物が少なく、10年程かけて初代彫常による彫物を入れる。
昭和29年山車修理、車輪、梶棒、大幕を新調する。大幕は名古屋伊藤呉服店にて。
昭和50年大幕新調
昭和63年山車修復をする。大工・岡戸昭夫(阿久比町宮津)
平成5年大幕、堂山水引、梵天、鳥毛、吹流しを新調する。大幕は京都川島織物、堂山水引は京都龍村美術織物。
平成6年追幕を京都龍村美術織物で新調。

白山車(知多型)

建造:大正7年(1918)

代表彫刻

  • 壇箱:七福神(大正7年ー彫常)
  • 蹴込:波に龍鳥(彫常)
  • 持送り:力神(彫常)
  • 脇障子:張良と黄石公(彫常)
  • 蟇股:松
  • 懸魚:鳳凰に仙人

  • 大幕:緋羅紗の無地
  • 追幕:波に千鳥と鈴の刺繍
  • 水引:黄地に鳳凰の刺繍 波に千鳥(平成5年新調)

からくり

  • 上山人形:三番叟(出樋の大廻し)(昭和6年ー若子武一)

白山車

白山車

█ 坂井地区(松尾神社) █

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坂井地区祭礼のおはなし

梶棒が山車の四本柱の内部にある旧形式であり常滑市内ではこの山車にしか見られない特徴です。山車の最上部の上山も、滑車で上下する仕組みになっています。

修理歴
明治15年
明治39年4月山車の一部が破損し修繕
大正5年10月心棒替に付解覧大修繕大屋根和紙張替
昭和5年心棒の取替
昭和6年前段の修理
昭和10年心棒部分解体修理
昭和17年屋台修理
昭和35年彫刻全部を分解して修理、心棒取替
昭和58年心棒を鉄棒に替える
平成13年車輪4個新調

松尾車(知多型) 常滑市指定有形民俗文化財

建造:明治5年(1872)

代表彫刻

  • 壇箱:唐獅子牡丹、獅子に手鞠(作者不明)
  • 蹴込:飛龍(作者不明)
  • 脇障子:張良と黄石公(作者不明)
  • 持送り
  • 前山蛙股:恵比寿・大黒

  • 大幕:緋羅紗の無地
  • 追幕
  • 水引:白羅紗に亀図

からくり(常滑市指定無形民俗文化財)

浄瑠璃語りと三味線で山車の上を舞台に糸からくり人形芝居を、氏子連によって奉納する。演題は「軍術誉の白旗鬼一法眼館の段」といい、源義経を主人公にした恋と活劇の物語で、鬼一法眼の娘、皆鶴姫が義経の愛を得るため、父の兵法書を盗み出して渡す濡場、それを取り返しにやってきた平広盛と娘との戦いなど。

松尾車

小鈴谷

最後まで見ていただきありがとうございました!!
市内の各山車・囃子保存会様からの変更依頼等ありましたらご連絡ください。
また、この常滑山車図鑑については、随時更新していく予定です。

連絡先
常滑市教育委員会 生涯学習スポーツ課(市体育館内)
電話   0569-44-4600
ファクス 0569-43-8011
メール   syogaisports@city.tokoname.lg.jp

お囃子を紹介します!!

常滑市の祭礼は3月下旬から5月上旬まで祭礼が市内各地で行われています。

常滑市は南北に細長く、広範囲に渡り、それぞれの地域で独自の文化を形成してきました。その為、飾り馬や山車も残っています。さらに囃子は伝統芸能として大切に守られております。市内に伝わる多くの楽曲は、東西南北様々なところから伝わっており、囃子に使用される楽器もそれぞれ使い分けられています。

是非お囃子の音色を生で聞いてみませんか!!

█ 苅屋区

多賀神社初午大祭

多賀神社初午大祭のはじまり

旧暦2月の初午の日に行われる初午大祭に由来します。別名「幟祭り」とも呼ばれ、幟のたなびく状にて農漁業の吉凶を占ったと言われています。歴史は不詳ですが、太鼓台には嘉永元年(1847)の文字が残されており、古く伝承されています。

曲目

・神楽(6曲):笛(篠笛)、小太鼓、大太鼓
 早、岡崎、小林、吉山、駒笛、矢車

・道行(6曲):笛(篠笛)、小太鼓、大太鼓
 吉山、お亀女郎、十六囃子、十日戎、金巻、祇園囃子

・舟山車(3曲):笛(篠笛)、小太鼓、大太鼓
 竹に雀、早舟、攻め

・巫女舞(1曲):笛(篠笛)、大太鼓、笏
 浦安の舞

 

榎戸区

榎木区祭礼

榎戸区祭礼のはじまり

江戸時代の新田開発に由来し、1800年中期に始まったと伝えられています。昭和34年の伊勢湾台風で一旦休止となったが平成2年に復活しました。
五穀豊穣と防災を祈念しています。

曲目

・神楽(8曲):笛(細笛)、小太鼓、大太鼓
 七軒丁、伝兵衛囃子、神明神楽、さむらい神楽、榎戸神楽、扇の舞、剣の舞、御幣の舞

・道行(7曲):笛(細笛)、小太鼓、大太鼓
 宮下がり、十六囃子、文服茶釜、白山下がり、渡り、津島下がり、神車

・打込み(3曲)
 経石囃子、新田囃子、八咫上り

このページに関するお問い合わせ

教育委員会教育部 生涯学習スポーツ課
〒479-0003
愛知県常滑市金山字下砂原78-1
電話:0569-43-5111(代表)、0569-44-4600(直通)ファクス:0569-43-8011
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