主な文化財
市内にある指定文化財の紹介
国指定文化財
国宝・絵画
紙本墨画淡彩慧可断臂図(しほんぼくがたんさいえかだんぴず)
雪舟77才、明応5年(1496)の作で、大きさは縦183.3センチ横112.8センチの水墨画です。達磨が座禅修行を行っているとき、神光(のちの慧可)が教えを乞うために、自ら自分の左肘(臂)を断ち切り決意を示して入門を許された、と言う故事を描いた名品です。実物は現在京都国立博物館に寄託されており、斉年寺に模写が飾られています。平成16年6月8日、国宝に指定されました。
重要文化財・絵画
絹本著色仏涅槃図(けんぽんちゃくしょくぶつねはんず)
中国の元時代(1300年ごろ)に、周四郎という画家の描いた縦150センチ横83.3センチの仏画です。中央には釈迦が宝床台のうえに横になり、まわりには10人の弟子、前面には神々や王侯貴族、獅子などがその死を嘆き悲しむ様子が繊細に描かれています。
重要有形民俗文化財
常滑の陶器の生産用具・製品
常滑焼の始まりは、平安時代の末期です。製品の多くはかめやつぼなどの大型製品と、皿や茶わん、鉢などの日常雑器です。昭和50年に指定された生産用具・製品1,655点は、名もない人々によって作られ継承されてきた伝統品です。その一つひとつが貴重な民俗資料です。
登窯(栄町6丁目)
常滑の登窯は江戸末期に、鯉江方救によって導入され、明治以後、急速に普及しました。陶栄窯は明治20年に新築されたもので、約20度の傾斜地の8つの焼成室を連ねた連房式登窯です。全国でも大型の部類に入ります。かつては市内に60基以上ありましたが、今では現存する唯一のものとなりました。
県指定文化財
有形文化財・絵画
高久隆古作品群(正住院)
隆古(1810~1858)は白河藩家老川勝氏一族の出身といわれ、江戸で南画を学び京都で大和絵を学びました。襖、障壁、衝立などに歴氏・人物・花鳥風月などの題材が73面描かれています。南画と大和絵を兼ね備えた特色があり、きわめて興味深い作品群です。
有形文化財・彫刻
木造阿弥陀如来立像(高讚寺)
ヒノキ材の一本造で背面下部に内刳が施されています。高さ85センチ。螺髪は切付で両手両足は後補です。顔付きは丸く円満の相を示し、頭部体部とも丸みを持ち、なで肩で、面相も女性的な微笑をたたえています。制作年代は平安時代末期とされています。
木造聖観音菩薩立像(高讚寺)
ヒノキ材の一本から像の大体の形を刻み出し、側面で前後に割って内刳を施した、いわゆる一本作割りはぎの造り方です。特徴は、体躯や掌の前面に丸ノミのあとを残した鉈彫像という点です。この手法は東国にひろく認められ、東海以西では珍しいものです。平安時代末期の作品とされています。
木造仁王像(高讚寺)
高讚寺の山門の左右に立つ2体の仁王像で向かって右側が阿形、左側が吽形です。高さはともに303センチで、知多半島内では最も大きいといわれ、寺の入口に立って仏法を護持しています。材質はヒノキで、今から700年ほど前の鎌倉時代の末期に作られたといわれています。昭和63年度に阿形、平成元年度に吽形が保存修理されました。
記念物・史跡
篭池古窯(久米)
昭和34年、愛知用水工事に関連して発掘したもので、第3号窯と第9号窯の2基が残っています。第3号窯は長さ11.35メートル、最大幅2.8メートルで比較的よく窯の原型を残しています。第9号窯は長さ10メートル、最大幅2.8メートルです。かめ、つぼ、山茶わんなどが焼かれました。中世古窯の形態をよく保っています。昭和53年に整備され、保存しています。
天然記念物
大野町のイブキ(個人宅)
このイブキは、高さ15メートル、根回り5.5メートル、枝下5.6メートルにおよぶ巨樹です。イブキはヒノキ科の常緑針葉樹で、美しい樹形が特徴です。樹齢約680年。長く大野地方の大庄屋を務めた家の庭にあり、徳川家康も2度滞在し、この木を称賛したと伝えられています。
多賀神社社叢(苅屋)
多賀神社の社叢を構成する樹木は、イヌマキ、クロマツ、ヤマモモなど30種類で、その中にオガタマノキが数十株あります。オガタマノキはモクレン科の常緑高木で、この地は分布上北限に近く、また、ひとつの樹林中に多数の株が生育することは珍しいことです。
大善院のイブキ(大善院)
大善院のイブキ柏槙(びゃくしん)ともいい、ヒノキ科の常緑高木であり本州から九州に分布する。葉は短く茎に密着し、全体としては炎のような枝振りになる。雌雄同株の特徴があり、4月から5月にかけて米粒ほどの雌花が盛んに咲いたあと実生がみられ、枝振りは非常に立派である。樹齢約500年~600年とされている。
市指定文化財
有形文化財・彫刻
木造十一面観音立像(宝樹院)
木造十一面観音立像は像高157.2センチ、寄木造玉眼漆箔で頂上の仏面・宝冠・足先などは後補です。菩薩面の化仏は当初のものです。錫杖を持つのは地藏信仰を混えた奈良県長谷寺本尊を模したもので、長谷寺型といわれています。市内では最も本格的な室町時代中期の作品です。
無形文化財
タタラ技法・ヒネリ技法 澤田重雄氏
明治から大正にかけて、常滑焼が近代産業化する中で、花器や植木鉢の生産が主要な品目になり、この生産に板状の粘土(タタラ)や粘土ひものひねり技法が使われました。この技法が常滑焼の産業の中で多用されるのは明治以降ですが、江戸時代にはその萌芽を認めることができます。
近世の縁起物つくりにはヒネリ技法が用いられ、タタラ技法は瓦の製法として発達したものです。
ロクロによる手造り急須技法 二代澤田昭邨氏
二代澤田昭邨氏の「ロクロによる手造り急須技法」は、急須の様々な形態を網羅するもので、しかも機能性に優れた急須を生み出すものである。形態的な美しさは、使いやすさを保証しないが、昭邨の熟練は、それを両立させた点で高く評価される。また、朱泥に限らず南蛮、烏泥、緑泥、窯変など急須ならではの素材の加工にも優れており常滑の地で受け継がれていくべき技法である。
ロクロによる手造り急須技法 小西洋平氏
小西洋平氏の「ロクロによる手造り急須技法」は、あらゆる急須の可能性を求めた末に確立されたものであり、伝統を受け継ぎつつも、新たな伝統を創造しようとする試みに溢れたものになっている。さらに独自に考案された練り込みカット技法は、新たな表現でありながら古典的な位置を占めており将来に受け継がれていくべき技法である。
常滑の施釉陶器技法 谷川省三氏
谷川省三氏の「常滑の施釉陶器技法」は、父親の代より受け継がれた茶陶とともにある。常滑焼の近代化の中で進んだ常滑の釉薬研究を工芸の分野に取り入れ、独自の表現として確立した技法は、常滑焼の伝統の一翼を担いつつある。抹茶器と結びついて春陽・省三とつながる施釉陶器技法は、さらに深化・継承されるべきであろう。
手彫りによる加飾技法 吉川房夫氏
吉川房夫氏の「手彫りによる加飾技法」は、初代澤田昭邨より受け継がれた技術で、印刀を用いて茶器製品や花瓶などの表面に彫刻を施す常滑焼独自に発展した技法である。吉川によって加飾された製品は、本来の常滑焼製品としての価値や品質を一層高めるものであり、多くの需要者から絶大な評価を得ており、まさに常滑焼の伝統として受け継いでいくべき技法である。
常滑焼工法「大物ヨリコ造り」 前川賢吾氏
前川賢吾氏の常滑焼工法「大物ヨリコ造り」は、平安時代末期から始まる常滑焼の伝統的な技法の一つてある。前川は常滑焼を代表とする大型の甕や壺だけでなく、近代的な新しい作品も生み出しており、古来の伝統を受け継ぎつつも、新たな伝統を創造しようとする試みに溢れたものになっている。
ロクロによる手造り急須技法 清水源二氏
清水源二氏の「ロクロによる手造り急須技法」は、父啓三より受け継がれた技術で、ロクロに大きな粘土塊を乗せて連続的に胴や口、手を造る中途挽きの技法である。清水は田土を水簸して良質な朱泥土の精製や各種陶土の混練、高度な焼成技法によって、土本来の豊かな表現を引き出すために独自の研究を重ねている。まさに常滑焼の伝統として将来に受け継がれていくべき技法である。
ロクロによる手造り朱泥急須技法 鯉江廣氏
鯉江廣氏の「ロクロによる手造り朱泥急須技法」は、一つ挽きニヨル急須造りが優れており、ロクロに乗せた一つの粘土塊から一つの急須の胴を作り出すものである。この技法は、急須職人の父、玲光より受け継いだものである。急須造りが盛んになったとされる江戸時代後期から脈々と常滑で受け継がれ、土にもこだわりのある伝統的な技法であり、将来に受け継がれるべき技法である。
常滑焼工法大物ロクロ技法 杉江幸治氏
杉江幸治氏の「常滑焼工法 大物ロクロ技法」は、粘土塊をロクロ台に据え、手で叩きながら底打ちにした後に、ロクロの回転を利用して一気に立ち上げるというもので、長い経験と熟練の技が必要とされる。杉江は、この大物ロクロ技法を江崎一生、竹内公明から学び独自の作風を築いた。この技法は、新たな伝統を創造するものであり後世に残すべきものである。
記念物・史跡
大野城跡(青海町)
大野城(別称宮山城)は佐治氏4代に亘る居城でした。伊勢湾を見下ろす景勝の地を占め、丘の上に本丸があり、空堀も残っています。現在は、城山公園として整備され、角櫓形の展望台が立てられています。
有形文化財・建造物
旧瀧田家住宅(栄町)
旧瀧田家住宅は、瀧田家が廻船経営をはじめた四代目金左衛門によって建てられた住宅です。平成12年に主屋、土蔵、離れの3棟が復元公開されています。当時の町屋建築の技術を用いて再現した家屋であり、常滑地域における海運の歴史を知る上で、貴重な資料です。
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